鰻を食べていたら隣にのび太が!「人生初の体験だと思う…」
鰻が美味しい店
昨夜。都内のある場所で知人と食事をしていたのだけど、彼はこう話し始めた。
「鰻が美味い…」
夏は暑いし、だるくなるけど、そういう時こそ、鰻でしょ。夏は鰻が美味い、などと熱く語り始めていた。
都内でいえば、あそこでしょ、ここでしょ、と次々にお店の名前を話し始めた。
(ちなみに僕は、「鰻」といえば、都内だと野田岩が好きで、フランスなどに行っても、野田岩が食べたくなるくらい、あそこの鰻が気に入っている)
帰宅後
……で、帰宅した後、僕はその影響を受け、iPhoneで「鰻」を検索し始めていた。明日(今日)の訪問先の近くで最も美味しい、人気の鰻屋はどこなのか。
そう思って、探し当てた。
なので、今日は今朝から、その鰻を食べるのが楽しみだった。ところが、ある事件が起きたのだ。
事件が起きる
訪問先最寄りの駅に早めに着き、早速、人気の鰻屋に向かった。
すると、想定通りだけど、やはり、人が並んでいた。やっぱり、人気店はこうだよな。でも、鰻って食べるのに時間はかからないし、そんなに長居もできないので、回転が早く。すぐに自分の番が来た。
お店に入り、注文すると……。
「はい、どうぞ」という店員さんの声と共に鰻が出された。
いやぁ、達成感があるな。昨夜から食べたいと思っていたので、余計に。
そう思っていたところで「事件」が起きた。
隣の女性が…
「私、のび太なんですよ」
うなぎを食べていたら、隣の女性がいきなり話し始めた。
女性は二十代だろうか。
営業職らしく。話している相手は
同じ会社の先輩のよう。
僕はその言葉のインパクトにやられ、鰻どころじゃなくなっていた。そもそも、「私、の・び・太・なんですよ」なんて、言葉は僕の人生の中で一度も聞いたことはない。「のび太」はもちろんある。人気の『ドラえもん』のキャラクターなのだから。
「のび太って?」
その先輩も突拍子もないその言葉に驚いているようだった。
「いえ、
だって部長はジャイアンのように横暴で、
課長はスネ夫のようにイヤな人
じゃないですか。毎日、イジメられてばかりですよ。文句、言われて。私、辛いです」
そう言って、「エヘヘ」って笑っていた。
そして、女性は鰻を一口ほうばり、
「美味しい!!」ってフツウじゃないくらい喜んでいた。
全くといっていいほど、辛さは感じられなかった。
僕は心の中で、
「キミはいくらイジメられても大丈夫だよ。
こっちはのび太のおかげで、鰻の味どころじゃなかったのだから」
と思いながら、楽しみにしていた鰻を食べ終えていた。
それにしても、のび太はかなり面白く、強いヤツだった。