内村航平が棄権!7連覇を逃した時に見せた絶対王者の思考とは
内村航平が世界選手権を棄権
10月2日。カナダ、モントリオールで開催された『体操・世界選手権』
個人総合で前人未到の大会7連覇を狙う、絶対王者の内村航平にアクシデントが起きた。
予選での2種目目の跳馬で(高難度の技)リ・シャオペンの着地の際に左足を痛めた。
リ・シャオペンは「毎回跳ぶたびに命の危険を感じている」と話すほどの高難度の技で、実は9月29日の練習でも失敗していた。
しかし演技は続けた
だが、次の平行棒も演技をし、さらに4種目目の鉄棒の練習も行ったが、その段階で競技を続けることは不可能だと判断し、鉄棒の演技はせずに棄権した。
様々な記録が途切れた…
この棄権により、2009年大会から続いていた世界選手権の連覇は6で途絶えた。
同時にロンドン五輪、リオデジャネイロ五輪を含めた世界大会連覇の記録も8でストップ。
個人総合での連勝も40で止まった。
(もちろん、十分に偉業なのだけど)
メディアは次々に報じた
これだけのことだ。日本だけでなく、各国のメディアが次々に報じた。
国内では
『体操世界選手権 内村が棄権 7連覇ならず』
NHKニュース
『内村の伝説終えんに世界も衝撃「1つの時代が終わった」「体操史上最も長い支配」』
デイリースポーツ
『内村まさか跳馬で左足故障 3種目終了棄権で個人総合の連覇途切れる』
スポニチアネックス
世界でも「The end of an era(1つの時代が終わった)」と国際体操連盟が告げ、米国のNBCも次のように報道した。
「世界最高の体操選手としての内村航平の時間が終わった」
各国メディアも「世界最高の体操選手の連続記録が途絶える」と衝撃とともに報じている。
次々に「終わった」「途切れた」と悲観的な報じられていた。
7連覇という偉業を狙う期待の中、これだけの記録が途絶えたのだ。成功に成功を重ねてきた記録はまさに途絶えた。
でも、内村は一人違った
棄権は悔しかっただろう。でも、多くの人のように「終わった」とか「途切れた」などと悔しがるだけではなかった。
内村航平はこう語った。
「(跳馬については)どんな体勢でも(着地では)立とうと決めていた。(技に)成功してケガしているので、何とも言えない。
ケガをするということはまだ下手。下手だから伸びしろはあると思うので、これをしっかり治してはい上がってやろうと思う」
失敗した時、僕らは何と答えるだろう。しかも単なる失敗ではなく、積み重ねてきたものがあり、これだけ多くの期待を寄せられている中での失敗。
そんな時、「本当に残念だ」と答えることはできる。
思い切り強がって、「次回は頑張ります」ということもできるかもしれない。
でも、内村航平は「
ケガをするということはまだ下手。下手だから伸びしろはある」と答えた。「下手」だという問題を真正面から受け止めつつ、「伸びしろ」という希望や可能性を意識する。
きっと、これが内村を絶対王者にしてきた偉大な思考なのだろう。
内村は、敗北してもその偉大さを示していた。