リオパラリンピック出場!一ノ瀬メイの全国1位のスピーチ
一ノ瀬メイ、日本史上初の6位入賞
一ノ瀬メイ選手はリオデジャネイロ・パラリンピックに出場。競泳女子400メートルリレーでも日本記録を7秒更新して日本史上初の6位入賞。本当に素晴らしかったです。
TOYOTAのCMでイチローとの共演も果たしているので、そちらで知っている方が少なくないと思います。
イチローと共演の動画。
全国1位のスピーチ
彼女は高校時代、英語スピーチの全国大会で優勝しています(全英連第8回全国高等学校英語スピーチコンテンスト)。
その内容がとにかく素晴らしいので、ご紹介します(スピーチは英語で行われたものですが、内容をより読みやすいものにしてお届けします)。
「社会が障害者を作るなら,その社会が障害者をなくすこともできるはず」という力強いメッセージ。
障害がある人だけでなく、障害がない人にとってもとても考えさせられる、胸に響くメッセージです。
スピーチ全文
タイトル「障害って何?」
私の腕は短いです。あなたは私をどう呼びますか?
ほとんどの人は「障害者」。つまり「障害を持っている人」と言うでしょう。
私は生まれた時からそう言われてきました。
でも、なぜそのように言われなければならないのでしょう?
多くの人は身体の機能が損なわれている人のことを「障害がある」と思っています。
ですが、それは違うと思います。
たとえば、私の腕は短いけれど、これは私にとって「障害」ではありません。
勉強もできるし、自転車にも乗れる。
泳ぐことも、髪を完璧に結ぶこともできます。
私はなんでも自分でできます。
なのに、なぜ私が「障害者」と言われなければならないのでしょうか。
私はなんでもできるのに……。
イギリスでは心身の機能が損なわれている人を”disabled person”といいます。
私はイギリスには2つの障害のモデルがあることを知りました。「個人モデル」と「社会モデル」です。
「個人モデル」はその人の「障害」の問題を個人的な能力の問題だとする考え方です。「個人モデル」の考え方は広く知られていると思います。
一方、「社会モデル」はどうでしょうか?
多くの人は聞いたことがないのではないでしょうか。私はこの「社会モデル」を知ることがとても大切なことだと思います。「障害」に対する理解をより深めることになると思うからです。
「社会モデル」はイギリスではよく知られるようになってきている考え方で。障害を生むのは個人の機能的な問題ではなく、社会がその障害を作り出しているのだ、という考えです。
社会が障害を作り出すとはどういうことか。
例えば外国に行ったとき、言葉が通じずに不自由を感じたことはありませんか?そんなときにあなたはその社会で能力的に「障害を持つ」ことになるわけです。
眼鏡やコンタクトレンズをつけている人が、そういった発明品のない社会で暮らせば、「障害を持つ」ことになります。
逆に、そこに段差や階段がなければ、車いすを使う人は能力に「障害をもつ」ことにはならないのです。
私は「社会モデル」の考え方に同意します。「社会」とは何か?それは「人」です。私たちが障害を作り出している張本人なのかもしれないのです。
お話したとおり、私はなんでも自分でできます。
それでも、私は「障害を持たされている」と感じるときがあります。他人がじろじろと私を見るときや、私のことをよく知らないで「障害者」だと決めつけられたとき、自分のことを「障害者」なのだと感じます。
9歳のとき、競泳クラスに入るためスイミングクラブに行きました。ですが、そのクラスに入ることはできませんでした。障害者のために設けられた特別なクラスにしか入ることはできない、とそう言われたのです。
実際には泳げるのに、私の短い腕を見ただけでほかの人たちと同じようには泳げないだろうと決めつけられてしまったわけです。
私はそのとき、生まれて初めて障害者であることを認識させられました。そのスイミングクラブが私を障害者にしたのです。
現在、私は競泳の選手をしています。韓国のインチョンで開催されたパラリンピックアジア大会にも出場して、先日帰国しました。その大会では、銀メダルを2つと銅メダル2つを獲得することができました。だからもし、あなたが泳げなければ、私がその方法を教えて差し上げます。そうすれば、あなたは海の中での「障害者」ではなくなります。
私は2020年東京パラリンピックに選手として参加することを目指しています。その大会が、大きな成功をおさめることを願っています。
ご存知のとおり、パラリンピックロンドン大会は素晴らしい大会でしたが,私はそれは障害者でない人達の理解によってもたらされた成功だったと思っています。
どれだけの障害者でない人が「障害者」を真に理解するでしょうか?
このことが、東京パラリンピックが2012年のロンドン大会と同じように大きな成功を収めることができるかどうかのとても大切な要素だと考えています。
みなさんが「社会モデル」について理解し、「障害者」の定義を新しい視点で見ていただければと思います。
2020年まであと5年しかありませんが、このとらえ方が広まることを願います。
大切なことは、よく知らないで人を判断しないこと、人はみんなそれぞれ違っていて、特別であることを理解することです。
社会が障害者を作るなら、その社会が障害者をなくすこともできるはずです。
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参考:【全英連 第8回 全国高等学校英語スピーチコンテスト】一ノ瀬メイ選手
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