安藤忠雄『挑戦』を観てきた。その言葉と凄まじさに圧倒された…

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安藤忠雄『挑戦』

安藤忠雄展『挑戦』を観てきた。

国立新美術館開館10周年のイベント。もう、国立新美術館が開館して10年なのか、ということにも驚いてしまうけど。

安藤忠雄とは

安藤忠雄はご存知のとおり、建築家。

ただ、その生き様が凄い。元プロボクサーで、しかも独学で建築を学ぶ。完全に異色の建築家。その異色な人生と同様に、既成概念を打ち破る斬新な建築作品を次々に送り出してきた。

日本にとどまらず、アジア、ヨーロッパ、アメリカと各国で活動している。

展示会に来た人たち

安藤忠雄展を観に来た人たちの中には建築家らしき人。建築家を目指す学生らしき人ももちろん多い。設計の図面に目をそらさず、じっくり見るような人たちもいた。

でも、図面はわからないので、美術展などと同様に、作品について説明された文章を必死に読むだけであとは作品を観るだけの人たちもいる。

僕の場合は少し違う

僕は、というと安藤忠雄、その本人に興味があるのだ(こういう人も結構いると思うけど)。

元ボクサーから、独学で建築を学ぶ。

独学なので、最初は大学で扱う建築の教科書などを買い集め、バイトの昼休みや睡眠時間などあらゆる時間を勉強に注ぎ込む。

でもやはり建築は実際のモノ(建物)を観ないといけないということで、日本の建築物を観たり……。さらに、23歳のときに日本で一般の海外渡航が自由化されたので、すぐさま渡欧する。

当時の世界旅行は今のように安全性が保障されていなくて、周囲の人たちには「もう帰ってこれないかもしれない」と告げて、旅に出ていたらしい。

お金を貯めては海外への旅をし、様々な建築物を見ることを4年間繰り返す。

インドのガンジス川に行った時には、死者の傍らで多くの人が沐浴するのを見て、こう考えたという。

「人生というものは所詮どちらに転んでも大した違いはない。ならば闘って自分の目指すこと、信じることを貫き通せばいい。闘いであるからには、いつか必ず敗れるときが来る。その時は、自然に淘汰されるに任せよう」

そう考え、ゲリラとしての生き方を決心したという。

安藤忠雄という人は現在76歳。日本を代表する建築家で、東京大学の特別栄誉教授になっていたり、数々の賞を獲っていたりもする。でも、そんなことは関係ない。この熱い想いにとても惹かれてしまう。

現在はさらに凄まじくて、病気のため、5つの臓器を全摘したらしいのだけど、そんな風にはまるで感じられないエネルギーを感じる。

展示会で最も素晴らしかったモノ

僕は建築作品そのものより音声ガイドの安藤さん本人の人生や仕事についての語りが最も素晴しかったと思う。

通常の音声ガイドは本人以外が語るものなのに、安藤さん自身が語ってしまうというのも安藤忠雄らしい気がする。ガイドの最後の方は……。

「全力疾走で生きないと人はついてきませんよ」

という、まるで建築の話でないことで終わった。

次の写真は展示会場に再現された『光の教会』

ただの展示会はつまらないと会場に建ててしまうのだから、やはりクレージー。